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コラム

2026.09.24
銀行は決算書のどこを見ている?融資を引き出しやすい決算書の作り方

 

日々の経理業務に追われ、月次の売上や利益を確認できていない。クラウド会計を導入して、経理業務を効率化したい。融資を見据えて、税理士と連携しながら経理や決算を整えたい。

☑日々の経理業務に追われ、月次の売上や利益を確認できていない。
☑クラウド会計を導入して、経理業務を効率化したい。
☑融資を見据えて、税理士と連携しながら経理や決算を整えたい。

決算書は、税務申告のためだけに作るものではありません。銀行から融資を受ける際には、返済能力や財務状況を判断する重要な資料になります。銀行は売上や利益だけでなく、純資産や借入金なども確認します。本記事では、銀行が決算書のどこを見ているのか、融資につながりやすい決算書にするために普段から意識したいポイントを解説します。

銀行は決算書のどこを見ている?

銀行は決算書を通じて、融資した資金を無理なく返済できる会社かどうかを確認します。売上や利益だけでなく、財務状況や借入金、資産の内容なども含めて判断します。

損益計算書(P/L)で見るポイント

損益計算書では、会社がどの程度の売上と利益を上げているかを確認します。売上や利益の推移から、今後も安定して利益を確保し、借入金を返済できるかを判断します。主に次の項目が見られます。

  • ・売上高:売上規模や前期からの増減、安定して売上を確保できているか

  • ・営業利益:本業で利益を生み出せているか

  • ・経常利益:本業以外の収益や費用も含めて、継続的に利益を確保できているか

  • ・赤字の場合:赤字の原因や一時的なものかどうか

単純に黒字であれば融資を受けやすいとは限らず、利益の推移や内容、今後も返済原資を確保できるかなども確認されます。

貸借対照表(B/S)で見るポイント

貸借対照表では、会社の財務基盤や借入状況などを確認します。保有する資産や負債、純資産の状況から、財務基盤や借入金の返済に無理がないかを判断します。主に次の項目がポイントです。

  • ・純資産・自己資本比率:財務基盤が安定しているか、債務超過になっていないか

  • ・借入金:借入残高がどの程度あり、返済能力に対して過大ではないか

  • ・現預金:手元資金に余裕があり、短期的な支払いに対応できるか

特に、利益を継続して確保できているか、純資産がどのような状態にあるかを確認することが重要です。

売掛金・在庫など資産の中身

銀行は決算書に記載された金額だけでなく、資産が実際にどのような状態にあるかも確認します。たとえば、売掛金が長期間回収されていない場合や、在庫が過剰になっている場合は、帳簿上の金額と実態が一致していない可能性があります。

そのため、日頃から売掛金や在庫などを適切に管理し、決算書に会社の実態を正確に反映させることが大切です。

>関連記事はこちら『決算書で見る会社の健康診断、注目すべき指標をわかりやすく解説』

銀行が重視する「返済能力」を決算書から確認する

銀行は、決算書から会社の返済能力も確認します。ここでは、返済能力を見る代表的な指標として「債務償還年数」と「自己資本比率」を紹介します。

債務償還年数とは

債務償還年数は、借入金を現在の返済原資で何年かけて返済できるかを見る指標です。

基本的な考え方として、次のように算出します。

・債務償還年数=借入金÷(営業利益+減価償却費)

ただし、実際の算定方法や評価基準は金融機関や業種などによって異なります。「○年なら必ず融資を受けられる」と一律に判断できるものではありません。

自己資本比率も確認する

自己資本比率は、総資産に占める純資産の割合を示す指標です。

・自己資本比率=純資産÷総資産×100

自己資本比率が高いほど、財務基盤が安定していると判断されやすくなります。

ただし、適正な水準は業種や会社の状況によって異なります。特定の数値を満たせば融資を受けられるわけではないため、自己資本比率だけで判断せず、利益や借入金、資産の状況などと合わせて確認することが大切です。

融資を引き出しやすい決算書にする5つのポイント

融資を意識した決算書を作るには、決算時だけでなく、日頃から経理を適切に行うことが大切です。特に、次の5つを意識しましょう。

  • ・正確な売上・経費を計上する:売上や経費の計上漏れ、勘定科目の誤りなどがないよう、日頃から適切に経理処理を行います。実際の経営状況を正確に決算書へ反映することが基本です。
    ・毎月の試算表を作成して数字の変化を把握する:毎月試算表を作成し、売上や利益の推移を確認します。前年や予算と比較することで、業績の変化にも早く気づけます。
    ・売掛金・買掛金・在庫を適切に管理する:売掛金や買掛金、在庫の残高を定期的に確認し、帳簿と実際の取引状況に差がないか確認します。
    ・借入金と返済計画を把握する:現在の借入残高や毎月の返済額を把握し、今後の資金需要も含めて返済計画を確認します。必要な資金調達についても早めに検討します。
    ・期中から利益・資金繰りを管理する:決算直前になって数字を確認するのではなく、期中から利益の見込みや資金繰りを把握します。資金調達が必要になった場合にも、早めに準備できます。

融資を意識するときに避けたい決算書の状態

融資を受ける際は、決算書の数字だけでなく、その背景や内容も確認されます。次のような状態は、会社の財務状況や返済能力を判断するうえで注意が必要です。

  • ・赤字や債務超過が続いている:赤字や債務超過が続いている場合は、返済能力や財務基盤について慎重に確認される可能性があります。一時的な赤字であれば、その原因や今後の改善見込みを説明できるようにしておきましょう。
    ・役員貸付金・仮払金などの内容が不明確:役員貸付金や仮払金などの内容が明確になっていないと、決算書から会社の実態を把握しにくくなります。取引の内容や発生理由を整理し、説明できる状態にしておきましょう。
    ・売掛金や在庫が実態と合っていない:長期間回収できていない売掛金や、販売見込みのない在庫などが含まれていると、帳簿上の資産と実際の価値に差が生じます。決算時には、資産の内容が実態を反映しているか確認することが大切です。
    ・借入金が過大になっている:借入金の残高や返済負担が大きい場合は、今後の返済に必要な資金を確保できるか確認されます。借入残高だけでなく、利益やキャッシュフローなどと合わせて確認しましょう。
    ・決算書の数字について説明できない:売上や利益の大きな変動、特定の勘定科目の残高などについて説明できない状態では、会社の実態を把握しにくくなります。数字の変動理由や取引内容を説明できるよう、日頃から記録を整理しておきましょう。

  •  

融資を受けやすくするには、決算書だけでなく日々の経理が重要

融資を見据えるなら、決算直前だけ対応するのではなく、日々の経理から会社の数字を把握できる体制を整えることが大切です。月次で数字を確認できれば、業績の変化や資金需要にも早く気づき、必要な対応を検討できます。

特に、経理担当者が他の業務と兼任している場合や、経理処理に時間がかかっている場合は、クラウド会計の導入や経理代行の活用も選択肢になります。

>関連記事はこちら『決算書で見る会社の健康診断、注目すべき指標をわかりやすく解説』

クラウド会計と経理代行で経理業務を効率化した事例

以下に、実際に弊社へご相談いただいた企業の事例をご紹介します。経理業務にどのような課題があり、クラウド会計と経理代行の活用によって、月次の数字を確認しやすい経理体制をどのように整えたのかを紹介します。

IT企業B社|経理代行とクラウド会計で経理業務の負担を軽減

IT企業B社では、専任の経理担当者がおらず、事務担当者が他の業務と兼任して経理業務を行っていました。日々の記帳や請求書の処理に時間がかかり、本来の業務に十分な時間を割きにくい状況でした。

そこで、弊社に経理業務の効率化についてご相談いただき、税理士のいる経理代行への依頼とクラウド会計の導入を支援しました。日々の記帳や経理処理を経理代行側で対応し、クラウド会計に経理情報を集約することで、事務担当者の経理業務にかかる負担を軽減しました。

導入後は、事務担当者が経理業務にかけていた時間を減らし、本来の業務に集中しやすい体制を整えました。また、クラウド会計で経理情報を確認できるようになり、月次の売上や利益なども把握しやすくなりました。

建築事務所T社|クラウド会計で業績を把握し、融資に向けた準備を効率化

建築事務所T社では、専任の経理担当者を置かず、事務担当者が他の業務と兼任して経理業務を行っていました。そのため、日々の経理処理に加えて、月次の売上や経費、利益などを整理する作業にも時間がかかり、決算前にならないと業績を確認しにくい状況でした。

そこで、弊社に経理業務の効率化についてご相談いただき、税理士のいる経理代行への依頼とクラウド会計の導入を支援しました。日々の経理処理を経理代行側で行い、クラウド会計に経理情報を集約することで、月次で業績を確認できる体制を整えました。

導入後は、決算を待たずに売上や利益などの業績を確認できるようになりました。これにより、決算前から税理士に相談し、融資を見据えた決算書の準備や今後の資金調達について早めに検討しやすくなりました。

>関連記事はこちら『freeeとMFクラウド会計、機能の違いは?』

まとめ|融資を見据えた決算書は日々の経理から作る

銀行は融資の際、売上や利益だけでなく、純資産や借入金、資産の内容などから会社の財務状況や返済能力を確認します。融資を見据えるなら、決算直前だけ対応するのではなく、日々の経理から正確な数字を把握しておくことが大切です。

また、融資を意識した決算書を作ることは、数字を加工してよく見せることではありません。日々の経理を適切に行い、会社の実態を正確に決算書へ反映することが基本です。

月次で経理を締め、利益や資金繰りを確認しておけば、決算前から必要な対応を検討できます。融資を見据える場合も、決算書だけでなく、日々の経理から会社の数字を整えておきましょう。

銀行・決算書・融資に関するよくある質問

以下に、銀行が見る決算書のポイントや融資に関するよくある質問をまとめました。

Q. 赤字でも融資を受けられますか?

赤字だからといって、必ず融資を受けられないわけではありません。赤字の原因や一時的なものかどうか、今後の改善見込みなども含めて判断されます。赤字の場合は、その背景や改善策を説明できるようにしておくことが大切です。

Q. 自己資本比率は何%あれば融資を受けやすくなりますか?

自己資本比率に一律の基準があるわけではありません。業種や会社の規模、財務状況などによって評価は異なります。自己資本比率だけでなく、利益や借入金なども合わせて確認することが大切です。

Q. 融資を受けるために決算書をよく見せることはできますか?

融資を意識する場合も、決算書の数字を実態よりよく見せるのではなく、日々の経理を正確に行うことが基本です。月次で利益や資金繰りを確認し、会社の実態を正確に決算書へ反映できる経理体制を整えておきましょう。

Q. 融資を受けるために日頃からできることはありますか?

月次で試算表を確認し、売上や利益、資金繰りなどの状況を把握しておくことが大切です。決算直前になって対応するのではなく、期中から数字を管理し、必要に応じて早めに税理士などへ相談できる体制を整えておきましょう。

おすすめはクラウド会計に強く税理士が在籍する経理代行に依頼すること

日々の経理から決算までを社内だけで管理することが難しい場合は、経理代行の活用も選択肢です。中央区日本橋経理代行では、母体となる税理士事務所サイバークルー株式会社が、御社に合ったクラウド会計の導入と経理業務の効率化をご提案しています。

クラウド会計の導入から、日々の記帳、月次の経理処理、決算を見据えた経理業務までまとめてご相談いただけます。

「月次の数字を確認できていない」「クラウド会計を導入したいが活用方法がわからない」「融資を見据えて経理や決算を整えたい」といったご相談にも対応しています。

なお、税理士との契約と経理代行の契約は別となるため、すでに他の税理士と契約している場合でも、経理代行サービスのみご利用いただけます。

融資を見据えて経理体制を整えたい方は、中央区・日本橋の経理代行サービスの無料相談をご活用ください。サービス内容の詳細もご確認いただけます。

この記事を担当した税理士
サイバークルー会計事務所 代表 横山 禎一(よこやま ていいち)
保有資格1961年、愛知県に生まれる。1985年同志社大学卒業後、大手化学メーカーに勤務。 退社後、1993年に米国のジョージ・ワシントン大学にてMBAを取得。帰国後、外資系企業の経営企画室や財務・経理部に勤務しながら、筑波大学大学院で修士法学取得。2000年に日米合弁のITベンチャーの立上げに加わり、10数億円の資金を集めIPOを目指したが、2003年に倒産。 この経験から、会社の倒産を防ぐ税理士・行政書士事務所を設立。起業希望者や起業家をサポートする「日本起業家倶楽部」を立上げ、創業スクールやセミナー・交流会などを主催している。
専門分野税理士、行政書士、MBA
経歴経理体制構築、経営計画サポート
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