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コラム

2026.04.02
会社が従業員の資格取得費用などを支出した場合は給与として課税される?

従業員に資格を取得させたい。資格所得費用の経理処理方法がわからない。給与として課税される、されない場合の基準が知りたい。

従業員に資格を取得させたい。

資格所得費用の経理処理方法がわからない。

給与として課税される、されない場合の基準が知りたい。

高齢化が進む日本では、優秀な人材を確保することがこれまで以上に難しくなっています。企業にとっては、新たな人材を採用するよりも、今いる従業員一人ひとりの生産性を高めることが重要な経営課題になりつつあります。

しかし、社員自身の負担によって学びを促す方法には限界があります。経済的な負担はもちろん、業務と両立しながら学習時間を確保するのは容易ではありません。さらに、自己研鑽によってスキルを身につけた従業員ほど、より良い条件を求めて転職してしまうリスクもあります。

こうした背景から、費用対効果の高い人材投資として“資格取得のサポート”を導入する企業が増えています。ただ実際には、『資格取得費用はどのように税務処理すべきか』『従業員に給与として課税されない形で支援するにはどうすればよいか』といった実務面での疑問や不安の声を多く耳にします。

そこで本記事では、企業が資格取得支援を行う際に押さえておきたいポイントを、税務の観点からわかりやすく整理してご紹介します。

 

目次

資格所得費などの支援の仕方

従業員の資格取得費や、取得のために必要となるセミナー受講料・教材費を会社が支援する方法には、次の二つがあります。

  • 会社の経費として処理する方法
    『給与所得者の特定支出控除』を適用する方法

ただし、これらはすべてのケースで認められるわけではなく、支援の内容や目的によって“対象となる場合”と“ならない場合”が分かれます。そこで、以下にそれぞれのポイントをわかりやすくご説明します。

従業員の資格取得費用を経費にできる場合

「従業員の資格取得費や研修費などは、業務に関連しているものであれば、原則として会社の経費にすることができます。国税庁の法令解釈でも、次のように示されています。

“業務を営む者又はその使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているものを含む。)が当該業務の遂行に直接必要な技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用の額は、当該習得又は研修等のために通常必要とされるものに限り、必要経費に算入する。”

※国税庁法令解釈より「その他の共通費用 37-24技能の習得又は研修等のために支出した費用

つまり、業務に必要な資格や研修であれば、基本的には経費として認められるということです。ただし、すべてが自動的に経費になるわけではなく、場合によっては従業員への『給与』として扱われ、給与課税の対象になってしまうケースもあります。

この点を誤ると、会社側にも従業員側にも思わぬ税負担が生じる可能性があります。そこで、どのような場合に経費として認められ、どのような場合に給与扱いとなるのか、そのポイントを以下で詳しくご説明します。

税務上の規定:給与課税対象とならない資格取得費用・学費とは?

資格取得や学費は、たとえ会社の業務遂行上必要なものであっても、その資格自体は最終的に個人に帰属します。そのため、会社が資格取得費用や学費を負担した場合、従業員はその負担額に相当する経済的利益を受けたとみなされ、原則として『給与』として扱われます。つまり、源泉徴収の対象となるということです。

従業員にとって給与扱いになると、所得税や住民税の負担が発生します。また、役員の場合はさらに注意が必要で、役員給与は原則として損金算入が認められないため、会社側の負担も大きくなります。

このように、資格取得費や学費は本来であれば給与課税される性質のものですが、そのまま給与として処理してしまうと、従業員にとっても企業にとっても負担が大きくなりかねません。

そこで、次のいずれかの条件に該当する場合には、会社が費用を負担しても給与課税の対象とならず、非課税で取り扱うことができます。資格取得費用や学費を支援する際には、これらの条件を満たす形での運用をお勧めします。

① その資格等が会社の業務遂行上、必要であること
② その資格等が従業員の職務に直接必要であること
③ 会社が負担する費用が、資格取得費用として適正な金額であること

課税・非課税になる支払いの条件

資格取得費用や学資金の取り扱いについては、支給の仕方や対象者によって給与課税となるケースがあるため注意が必要です。

①通常の給与に加算するもの

学費等が非課税として扱われるのは、あくまで通常の給与とは別に支給される場合に限られます。本来支給すべき給与を減額し、その分を学資金として支給するような形にすると、実質的には給与と同じと判断され、課税対象となります。

②役員や従業員の家族に支払われるもの

家族に対する学資金の支給は、原則として給与に該当し、給与課税の対象となります。家族への支給は「本人の労務の対価ではない」と判断されるためです。

③特別な関係がある人への支給は一定の条件がある

支給を受ける従業員が経営者の親族など、給付者と特別な関係にある場合でも、学資金の給付が「特別な関係者だけを優遇したものではない」と認められれば、原則として非課税として差し支えないとされています。ただし、運用には慎重さが求められます。

このように、資格取得費用を会社が負担する場合、その対象者が『役員』か『従業員』かによって取り扱いが大きく異なります。従業員の場合は、前述の条件を満たせば非課税で処理できるケースが多い一方、役員の場合は「役員給与」として扱われる可能性が高く、課税リスクが大きくなります。ケースによって判断が分かれるため、実際に支給を検討する際には、税務の専門家に相談することをお勧めします。

負担するにあたり注意すること

会社や事業主が従業員の研修費用や資格取得費用を負担する際には、次の2点に注意する必要があります。

1.研修や資格取得の費用の内容が分かるものを残す

研修や資格取得のために支出した費用が“業務上必要なもの”であることを後から証明できるよう、研修案内、カリキュラム、資格の概要、受講証明書など、内容が分かる資料を残しておくことが重要です。これらの資料がない場合、税務調査で“個人的な学習費用”と判断され、給与課税されるリスクが高まります。

2.補助制度は給与となる

研修費用や資格取得費用の「半額を補助する」といった制度の場合、その補助金が実際に研修費用に使われたかどうかを会社側で確認できません。 そのため、補助金は従業員への給与とみなされ、課税対象となります。 非課税とするためには、会社が研修会社へ直接支払うなど、用途が明確に確認できる形での運用が必要です。

このように、研修費用や資格取得費用の取り扱いは、支給方法や証拠資料の有無によって課税・非課税が大きく分かれます。適切な処理を行うためには、制度設計の段階から注意が必要です。

給与所得者の「特定支出控除」を活用する

会社が費用を負担しない場合でも、従業員の資格取得を支援する方法があります。それが“給与所得者の特定支出控除”の活用です。特定支出控除とは、従業員が自ら負担した一定の支出が『特定支出控除額の基準』を超える場合、その超えた部分を確定申告により給与所得控除後の所得から差し引くことができる制度です。 (※国税庁「給与所得者の特定支出控除」より)平たく言えば、 会社としては業務上必要と認めているものの、費用は従業員が自己負担している場合に使える制度ということになります。

特定支出には、帰宅旅費や転居費など全部で7種類がありますが、その中に次の2つが含まれています。

  • ・研修費:職務に直接必要な技術や知識を得るための研修費用
    ・資格取得費:職務に直接必要な資格を取得するための費用

この制度は昭和62年度の税制改正で創設され、平成24年度の改正で適用範囲が拡大されました。 特に平成24年度改正では、弁護士・会計士・税理士など、「その資格がなければ業務ができない」専門資格についても対象に含まれるようになり、利用しやすくなったと言われています。

ただし、実際に利用するにはいくつかのハードルがあります。

  • ・会社が「特定支出に関する証明書」を発行する必要がある
    ・従業員自身が確定申告を行わなければならない
    ・支出が「職務に直接必要」であることを証明する資料が求められる

このように、制度としては有利な面がある一方で、手続きの手間がかかる点も事実です。 会社負担が難しい場合の選択肢としては有効ですが、実際に利用する際には制度の仕組みを理解した上で進めることが大切です。

経理上の処理:教育に関連した勘定科目は?

「資格取得や教育に関する費用の勘定科目は、税法で明確に定められているわけではありません。そのため、自社の目的や管理のしやすさに応じて、適切な勘定科目を選択することができます。

主要な勘定科目

・研修費:業務に直接必要な知識や能力を身につけるための教育費を計上します。 「教育訓練費」「採用教育費」なども同様の扱いです。

【例】
-業務に必要な資格取得のための講座

-社内研修・外部研修の受講料
-技術向上のためのセミナー参加費


・福利厚生費:業務とは直接関係しないものの、従業員の福利厚生として提供する教育費を計上します。ただし、全従業員が利用可能であること、常識の範囲内の金額であることが条件です。

【例】
-英語を使わない部署の社員が希望する英会話教室の費用補助
-趣味的な講座の補助(全従業員が対象の場合)


・雑費:研修費がめったに発生せず、専用の勘定科目を設けるほどではない場合に使用します。ただし、継続的に発生する場合は「研修費」などの科目を設けた方が管理しやすくなります。

更に、資格取得に関するに関する書籍を会社負担で購入した場合は、「新聞図書費」でも処理ができます。また、資格取得にあたって、公共交通機関を使って会場まで移動することがあります。その場合に発生した料金は、「旅費交通費」の勘定科目で仕訳処理をすることができます。

資格取得に関連するその他の勘定科目

資格取得に関連して発生する費用は、内容に応じて次の科目で処理することもできます。

・ 新聞図書費:資格取得のために必要な書籍を会社負担で購入した場合に使用します。

【例】
-試験対策テキスト
-専門書・技術書

・ 旅費交通費:資格試験や研修会場へ公共交通機関で移動した際の交通費を計上します。

【例】
-電車・バス・新幹線の運賃
-会場までの移動にかかった実費

 

資格取得費用の経理処理事例:日本橋記帳代行サービスへの相談ケース

  • 以下に、弊社が実際に受けた研修費の経費処理に関するご相談のケースをご紹介します。

IT企業A社の研修サポート事例|給与課税されないケース

IT企業A社では、クラウドサービスの導入案件が増えたことから、担当エンジニアに最新のクラウド技術を習得させる必要がありました。そこでA社は、外部の専門研修会社が実施するクラウドエンジニア向けの研修(受講料:1名12万円)を受講させることを決定し、費用を会社が全額負担する形を検討していました。

しかし、A社の経理担当者からは『この研修費は経費にできるのか』『従業員の給与として課税されてしまうのではないか』というご相談が寄せられました。

研修内容を確認したところ、A社が日常的に扱うクラウド環境に直結する技術であり、受講対象者の職務とも密接に関連していました。また、研修費用も一般的な相場の範囲内で、内容に対して適正な金額でした。

そのため、このケースは ①業務遂行上必要であること②職務に直接必要であること③費用が適正であることのすべてを満たしており、会社が負担しても給与課税されないと判断されました。

結果として、A社は従業員に税負担をかけることなく、必要なスキル習得を支援することができました。

設計事務所C社・役員の場合の事例|給与課税となったケース

当会計事務所には、設計事務所 C社の役員から資格取得費用の経理処理について相談が寄せられました。
C社では、建築士としての専門性を高めるため、役員が新たに建築関連の上位資格を取得することを検討していました。受験料や講座費用は合計で約18万円。役員本人は『会社の業務に必要だから、会社負担で良いのではないか』と考えていました。

しかし、役員の場合は従業員とは異なり、会社が負担した費用が“役員給与”として扱われる可能性が高くなります。
今回のケースでも、以下の理由から 会社負担=役員給与(課税対象) と判断されました。

・その資格は業務に関連しているものの、役員個人のキャリア価値を大きく高める性質が強い
・役員に対する支給は、従業員と異なり“職務に直接必要”と認められにくい
・役員給与は原則として損金算入が認められず、会社側の負担も大きくなる

結果として、C社が費用を負担した場合、役員個人には所得税・住民税の負担が発生し、会社側も損金にできないという二重のデメリットが生じることが明らかになりました。

そのため当会計事務所では、「この資格取得費用は役員個人で負担した方が、結果的に税務リスクが少ない」という結論をお伝えしました。

マーケティングコンサル会社T社|「特定支出控除」制度の活用

マーケティングコンサルティングを行うT社では、デジタル広告やデータ分析の高度化が進む中で、コンサルタント一人ひとりの専門性向上が重要な課題となっていました。 そこでT社では、従業員が自ら受講している外部のマーケティング講座(受講料:8万円)や、データ分析関連資格の受験料(2万円)について、「会社として何らかの形で支援したいが、会社負担にすると給与課税の問題が出てこないか」 「従業員が自己負担している場合でも、税制上のメリットはないのか」というご相談が日本橋会計事務所に寄せられました。

講座や資格の内容を確認したところ、いずれもT社が提供しているコンサルティング業務に直結しており、 従業員の職務に“直接必要な知識・スキル”と認められるものでした。そこで当事務所では、給与所得者の「特定支出控除」制度の活用をご提案しました。

専門家に任せることをお勧め致します

「このように、資格取得や教育に関する税務処理は非常に複雑であり、給与として課税されるかどうかはケースバイケースで判断されます。 同じように見える支出でも、支給方法や対象者、業務との関連性によって取り扱いが大きく変わるため、慎重な対応が求められます。

そこでお勧めしたいのが、税務の専門家にその都度アドバイスを求めることです。 専門家に相談することで、税務リスクを避けながら、従業員のスキルアップ支援を適切に行うことができます。

現在、多くの企業さまが市場での競争力を高めることを求められています。 そのような厳しい環境の中で、本業に集中し、生産性を高めるためには、経理業務を専門家に任せることも有効な選択肢です。経理代行の活用など、バックオフィスの効率化を図ることで、安定した経営基盤を築くことにつながります。

Q&A:資格取得費用の経理処理に関するよくある質問

以下に決算申告に関するよくある質問をまとめました。

会社が従業員の資格取得費用を負担すると、必ず給与として課税されますか?

いいえ。業務遂行上必要であり、職務に直接関連している場合は非課税となるケースがあります。 ただし、資格の種類や支給方法によって判断が分かれるため、 「業務との関連性が明確か」「費用が適正か」が重要なポイントになります。 資料の保存や支給方法の設計によって、課税・非課税が変わることもあります。

 

従業員が自己負担した資格取得費用は、会社が何もしなくても税制優遇を受けられますか?

条件を満たせば“給与所得者の特定支出控除”を利用できます。 会社が費用を負担しない場合でも、以下のような条件を満たせば、従業員は確定申告で税負担を軽減できます。 

  • ・会社が業務上必要と認めている
    ・従業員が自己負担している
    ・研修費・資格取得費が特定支出に該当する

  • ただし、会社が「特定支出に関する証明書」を発行する必要があるため、事前の確認が大切です。

 

Q3.資格取得費用はどの勘定科目で処理すればよいですか?

A:目的や内容に応じて複数の選択肢があります。 一般的には以下のように使い分けます。

  • ・研修費:業務に必要な知識・スキルの習得
    福利厚生費:業務と直接関係しないが、全従業員が利用できる教育支援
    ・雑費:発生頻度が低く、専用科目を設けるほどではない場合

  • また、書籍代は「新聞図書費」、試験会場への交通費は「旅費交通費」で処理できます。 勘定科目は税法で固定されていないため、自社の管理しやすさも考慮して選ぶことができます。

 

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この記事を担当した税理士
サイバークルー会計事務所 代表 横山 禎一(よこやま ていいち)
保有資格1961年、愛知県に生まれる。1985年同志社大学卒業後、大手化学メーカーに勤務。 退社後、1993年に米国のジョージ・ワシントン大学にてMBAを取得。帰国後、外資系企業の経営企画室や財務・経理部に勤務しながら、筑波大学大学院で修士法学取得。2000年に日米合弁のITベンチャーの立上げに加わり、10数億円の資金を集めIPOを目指したが、2003年に倒産。 この経験から、会社の倒産を防ぐ税理士・行政書士事務所を設立。起業希望者や起業家をサポートする「日本起業家倶楽部」を立上げ、創業スクールやセミナー・交流会などを主催している。
専門分野税理士、行政書士、MBA
経歴経理体制構築、経営計画サポート
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