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コラム

2018.03.17
会社が従業員の資格取得費用などを支出した場合は給与として課税される?

従業員に資格を取得させたい。資格所得費用の経理処理方法がわからない。給与として課税される、されない場合の基準が知りたい。

従業員に資格を取得させたい。

資格所得費用の経理処理方法がわからない。

給与として課税される、されない場合の基準が知りたい。

コロナ禍という状況が長引き、市場が急速に変化する中、企業の生き残りには多様な能力を持った優秀な人材が益々必要となっています。

社内の人材を育てることが重要課題になっているとはいえ、経営状態が厳しく、従業員の能力開発は、個々の自律的な学びに頼らざるを得ないという企業さまも多いかと思います。

しかしながら、社員の自己負担で学びを促進するには、経済的にも時間的にも限界があります。更には、自己研鑽して能力を身につけた従業員は、より良い条件や環境を求めて転職してしまうというリスクがあります。

このような状況の中、費用対効果が高いとされる従業員の資格所得のサポートを考えている企業さまが増えているようで、「資格所得費用は、どう税務処理をしたらよいのか」「給与として課税されないようにするにはどうしたらよいのか」というご相談を多く伺うようになりました。

そこで、以下に詳しくご紹介したいと思います。

(※2022年4月更新)

資格所得費などの支援の仕方

従業員の資格取得費や、取得のためにかかったセミナー受講料、教材費を会社が支援する方法には以下の2つがあります。

①経費にする

②「給与所得者の特定支出控除」を適応する

しかしながら、対象となる場合とならない場合があるので、注意が必要です。以下にご説明致します。

①従業員の資格取得費用を経費にできる場合

従業員の資格取得や研修費などは、業務に関係あるなら原則的に経費にすることができます。以下が国税庁の法令解釈です。

“業務を営む者又はその使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているものを含む。)が当該業務の遂行に直接必要な技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用の額は、当該習得又は研修等のために通常必要とされるものに限り、必要経費に算入する。”

※国税庁法令解釈より「その他の共通費用 37-24技能の習得又は研修等のために支出した費用

つまり、原則的に、業務に関係ある資格なら経費にできます。しかしながら、場合によっては、従業員への「給与」扱いとなり、給与課税対象になってしまうことがあるので注意が必要です。以下にご説明致します。

税務上の規定:給与課税対象とならない資格取得費用・学費とは?

資格取得や学費は、会社の業務遂行上必要な場合であっても、その資格自体は個人に帰属するものです。会社がその資格取得のための費用を負担したときは、その社員に対して負担額に相当する経済的利益を与えたことになり原則的には「給与」となり、源泉徴収の対象となります。

従業員の場合、「給与」は企業にとって経費となりますが、本人にとっては所得税や住民税の負担になります。また、役員の場合、給与は経費(損金)とならないため、注意が必要です。

このように資格取得や学費は、本来ならば給与として課税されますが、その場合、対象者にとっても、企業にとっても負担となってしまう可能性が高いので注意が必要です。

そこで次のいずれかに該当する場合は、給与課税はされないので、資格取得費用・学費としてお勧め致します。

①その資格等がその会社の業務遂行上必要であること
②その資格等がその社員としての職務に直接必要であること
③その費用負担が資格取得費用として適正な金額であること

 

課税・非課税になる支払いの条件

次に非課税、課税になる3つのポイントをご紹介致します。

①通常の給与に加算するもの

支給される学費等で非課税になるものは、通常の給与に加算して支払われた場合です。本来、支給すべき給与の額を減額して、それに相当する金額を学資金として支給する場合は、給与として課税されますので注意が必要です。

②役員や従業員の家族に支払われるもの

役員や従業員の家族に支払われる学資金については、原則として給与に該当し給与課税の対象となるため注意が必要です。

③特別な関係がある人への支給は一定の条件がある

学資金の支給を受ける“従業員”が、経営者の親族などに該当し、給付する人と支給される人が特別な関係である場合でも、学資金の給付が特別な関係者のみを対象としていなければ、原則として非課税として差し支えないとされています。

基本となりますが、資格所得費用を会社が負担した際、資格を取得した者が「役員」もしくは「従業員」かによって異なる場合があるので注意が必要です。

従業員の場合、上記のように処理します。役員の場合は、「役員給与」となる可能性が高いので注意が必要です。場合によって異なりますので、税務の専門家に問い合わせることをお勧め致します。

負担するにあたり注意すること

会社や事業主が従業員の研修費用や資格取得費用を負担する場合に注意することは以下の2つです。

1.研修や資格取得の費用の内容が分かるものを残す

研修や資格取得のために掛った費用が仕事で必要なものであることが後からでも分かるように研修の案内や資格の内容が分かる資料を残しておくこと。

2.補助制度は給与となる

研修費用や資格取得費用の半分を会社や事業主が負担するような補助制度の場合は、給与として取り扱う必要があります。補助制度の場合、その補助が研修費用や資格取得費用となったかを確認することができないからです。

 

②給与所得者の「特定支出控除」を活用する

会社が費用を負担しないでも、従業員の資格取得を支援する方法があります。それは、給与取得者の「特定支出控除」の活用です。特定支出控除は、“「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度”です。※国税庁「給与所得者の特別支出控除」より

平たく言うと、対象となるのは、会社は業務に必要と認めるのだけれど、費用は従業員自らが自己負担している費用になります

特定支出には、帰宅旅費、転居費など7つがありますが、その中に、以下の「研修費」と「資格取得費」も含まれます。

・研修費:職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出

・資格取得費:職務に直接必要な資格を取得するための支出

特定支出控除は、昭和62年度税制改正で創設され、平成24年度税制改正で適用基準の条件が緩和されました。その際、職務の遂行に直接必要な弁護士や会計士、税理士といった、「その資格を有する者に限って特定の業務を営むことができる」ような資格についても適用されるようになりました。

利用しやすくなったとは言われていますが、税制改正により、会社が業務に必要だと認める「特定支出に関する証明書」を発行しなければならない、従業員自身で確定申告を行わなければならないなど手間がかかるというハードルがあるのも事実です。

 

経理上の処理:教育に関連した勘定科目は?

資格取得や教育に該当する勘定科目は、税法で定められているわけではありません。自社の目的に応じて、管理のしやすい勘定科目を選択することができます。

資格取得や教育の勘定科目で一般的なのが、以下の3つです。

 

  • ・研修費:業務に直接必要な知識や能力を身に着けるための教育費(「教育訓練費」、「採用教育費」も同等の扱い)
  • ・福利厚生費:業務とは関係ない研修に個別に参加したいという場合で、全従業員が利用可能でかつ常識の範囲内の金額であることが条件。福利厚生費でよくあるのが、業務では英語を使用しない社員に対しての英会話教室の費用補助があります。
  • ・雑費:めったに研修費が発生せず勘定科目を新たに設ける必要がない場合
  •  

更に、資格取得に関するに関する書籍を会社負担で購入した場合は、「新聞図書費」でも処理ができます。また、資格取得にあたって、公共交通機関を使って会場まで移動することがあります。その場合に発生した料金は、「旅費交通費」の勘定科目で仕訳処理をすることができます。

 

専門家に任せることをお勧め致します

このように、資格所得や教育に関する税務処理は、非常に複雑となっており、給与として課税されるかされないかはケースバイケースということが多いです。そこで、お勧め致したいのが、税務の専門家にその都度、アドバイスを求めることです。

コロナ禍において、多くの企業さまが市場での競争力を高めることが益々求められているかと思います。そのような厳しい状況の中、本業に集中し生産性が高められますよう、経理業務は、専門家に依頼し、経理代行を利用するなど、バックヤードオフィスの効率化をすることが安定経営に結びつくことが考えられます。是非、お気軽にご相談ください。

 

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この記事を担当した税理士
サイバークルー会計事務所 代表 横山 禎一(よこやま ていいち)
保有資格1961年、愛知県に生まれる。1985年同志社大学卒業後、大手化学メーカーに勤務。 退社後、1993年に米国のジョージ・ワシントン大学にてMBAを取得。帰国後、外資系企業の経営企画室や財務・経理部に勤務しながら、筑波大学大学院で修士法学取得。2000年に日米合弁のITベンチャーの立上げに加わり、10数億円の資金を集めIPOを目指したが、2003年に倒産。 この経験から、会社の倒産を防ぐ税理士・行政書士事務所を設立。起業希望者や起業家をサポートする「日本起業家倶楽部」を立上げ、創業スクールやセミナー・交流会などを主催している。
専門分野税理士、行政書士、MBA
経歴経理体制構築、経営計画サポート
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