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コラム

2024.07.24
今さら聞けない…定額減税とは一体なに?自分で対応すべき項目とは?

定額減税の基本的な概要を理解したい。定額減税で自分自身が受けることのできるメリット・デメリットを知りたい。経理担当者の実務に関わる定額減税への対応を知りたい。

定額減税の基本的な概要を理解したい。

定額減税で自分自身が受けることのできるメリット・デメリットを知りたい。

経理担当者の実務に関わる定額減税への対応を知りたい。

昨今の記録的な物価高騰により拍車をかけられているデフレ。デフレ脱却に向けた経済施策として、政府は2024年6月から所得税額の特別控除である「定額減税」を1年間実施します。具体的には、2024年6月1日以後に支払われる給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額が控除される方法で行われます。
定額減税によって一定期間手取りが増えることで、家庭の経済的な負担を軽減し、消費が促進されることが期待されています。
一方で「自分は該当するのだろうか」「メリットがわからない」「経理業務への影響に不安を感じる」という声をよくお伺いします。そこで今回のコラムでは、定額減税を受ける立場にある方、そして経理担当者として必要な対応という2つの観点からお伝えします。

定額減税の対象者

定額減税の対象者には大きく分けて「納税者」と「納税者の同一生計配偶者や扶養親族」の2つがあります。

【対象となる納税者】
・日本国内に住所がある、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する
・2024年分の所得税納税者
・2024年の合計所得金額が1,805万円以下*である
*給与収入のみの場合、給与収入が2,000万円以下。(注) 合計所得金額が1,805万円を超えると見込まれる方についても、6月1日以後に支払われる給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額が控除されます。この場合、年末調整又は確定申告において最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算が行われます。

【対象となる納税者の同一生計配偶者と扶養親族】
・日本国内に住所がある、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する
・納税者本人と生計を一にしている(内縁関係の人は非該当)
・年間の合計所得金額が48万円*以下(令和元年分以前は38万円以下)である
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと
*給与所得だけの場合、給与収入が103万円以下

参照元:国税庁「専門用語集

定額減税の減税額は?

定額減税額には「所得税」と「住民税」があります。
一人あたり、所得税が30,000円、住民税が10,000円減税になります。以下に扶養家族数別に減税額を一覧にしました。

【所得税の定額減税:例】

扶養家族0 30,000円(本人30,000円)
扶養家族1人 60,000円(本人30,000円+ 扶養親族  1人30,000円)
扶養家族2人 90,000円(本人30,000円+ 扶養親族  2人60,000円)
扶養家族3人 12,000円(本人30,000円+ 扶養親族  3人90,000円)


【住民税の定額減税:例】

扶養家族0 10,000円(本人10,000円)
扶養家族1人 20,000円(本人10,000円+ 扶養親族  1人10,000円)
扶養家族2人 30,000円(本人10,000円+ 扶養親族  2人20,000円)
扶養家族3人 4,000円(本人10,000円+ 扶養親族  3人30,000円)

つまり、所得税と住民税をあわせて、1人あたり合計4万円が減税されます。

参照元:国税庁「税務相談チャットボット

定額減税への対応

定額減税を受けるための対応は、所得の種類等によって異なります。

【所得の種類による定額減税への対応】

給与取得者 給与所得者の場合、原則として新たな手続は必要ありません。
扶養控除等申告書  を提出している勤務先から給与等の支払を受ける際に、源泉徴収税額から 定額減税額  が控除されます。
具体的には、令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等の源泉徴収税額から定額減税額が控除されます。控除された定額減税額は、給与支払明細書や源泉徴収票で確認できます。
年金を受給している方(公的年金所得者) 厚生労働大臣等から公的年金等の支給を受けている場合、新たな手続をとることなく、その公的年金等の支払者のもとで、源泉徴収税額から定額減税額が控除されます。
個人事業主など
(給与・年金以外の所得者)
 
令和6年分の予定納税額がある場合、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)から本人分の 定額減税額に相当する金額(30,000円)が控除されます。
また、予定納税額の減額申請の手続又は確定申告を行うことにより、同一生計配偶者や扶養親族に係る定額減税額の控除を受けることができます。

なお、複数の所得がある方は、源泉徴収などでそれぞれの所得に応じた定額減税の適用を受け、最終的には、確定申告によって精算することになります。

経理担当者が必要な定額減税への対応

源泉徴収義務者である経理担当者が行う定額減税に関する事務には、以下の2つの業務があります。

①月次減税:令和6年6月1日以後最初に給与等を支払う際
月次減税事務では、令和6年6月1⽇以後最初に⽀払う給与等に対する源泉徴収税額から月次減税額を控除します。控除しきれない部分の⾦額は、以後令和6年中に⽀払う給与等に対する源泉徴収税額から順次控除します。

【月次減税事務の手順】

*定額減税控除に該当しない人
・扶養控除等申告書を提出していない⼈
・令和6年6月2⽇以後に給与の⽀払者のもとで勤務することとなった⼈

・令和6年5月31⽇以前に給与の⽀払者のもとを退職した⼈
・令和6年5月31⽇以前に出国して非居住者となった⼈

②年調減税:年末調整を行う際
年調減税事務では、年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき、年間の所得税額との精算を行います。年末調整終了後に作成する「給与所得の源泉徴収票」には、その「(摘要)」欄に、実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額×××円」と記載します。

参照元:国税庁「税務相談チャットボット

定額減税を受ける際、納税者は原則申告手続きなどは必要ありません。ですが、企業は経理担当者は、給与計算担当者は従業員一人ひとりの扶養家族の情報などを把握し、減税額を算出しなければならず、負担増加が懸念されています。
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この記事を担当した税理士
サイバークルー会計事務所 代表 横山 禎一(よこやま ていいち)
保有資格1961年、愛知県に生まれる。1985年同志社大学卒業後、大手化学メーカーに勤務。 退社後、1993年に米国のジョージ・ワシントン大学にてMBAを取得。帰国後、外資系企業の経営企画室や財務・経理部に勤務しながら、筑波大学大学院で修士法学取得。2000年に日米合弁のITベンチャーの立上げに加わり、10数億円の資金を集めIPOを目指したが、2003年に倒産。 この経験から、会社の倒産を防ぐ税理士・行政書士事務所を設立。起業希望者や起業家をサポートする「日本起業家倶楽部」を立上げ、創業スクールやセミナー・交流会などを主催している。
専門分野税理士、行政書士、MBA
経歴経理体制構築、経営計画サポート
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