【士業】経理業務の増加に伴い、経理の効率化を継続アドバイ…
企業では、仕事を得る根回しや契約を取りつけるために、謝礼、リベート、献金などが必要になってくる場合があります。
その際、それらの支出に関しては、領収書を発行してもらえませんし、そのまま会社の会計報告書に載せることもできません。
このような、支払先や金額はわかっていても、使い道を明かすことができない支出を『使途不明金』といいます。
また、たとえ領収書があっても、何に使ったか説明できない場合も認定されます。
使い道はもちろん、支払先の氏名、住所、所在地、支払った金額もすべてが明かせない支出は、『使途秘匿金』となります。
使途秘匿金は、領収書はもちろん、資料が一切なく、会計報告書などの帳簿にも載せられない支出のことで、使途不明金が『使う目的のみを隠している支出』だとしたら、使途秘匿金とは『使う目的だけでなく、支払先や金額などすべてを隠している支出』といえます。
基本的に企業は広く公に経営状況を告知する『決算公告』の義務があり、支出に関してあいまいで不明瞭な部分があってはならないとされています。
使途秘匿金に対しての課税は、『支払先を隠すことは、闇献金や反社会的勢力への支出につながる可能性が高い』として、1990年代のゼネコン汚職事件などを契機に導入されました。
しかし、その後も使途秘匿金は減ることはなく、2014年には課税を受けた法人数が1,054社にのぼり、増加傾向にあります。
使途不明金、または使途秘匿金に認定された支出に関しては、特別な取り扱いを受けることになります。
まず、両方とも勘定科目がないので、どちらも損金に算入することができません。
仮に、会計上は交際費や手数料等の科目で処理していたとしても、税金の計算上は『損金不算入』として加算されることになります。
つまり経費として計上できないのです。
経費にできないので、その額がそのまま課税対象になってしまいます。
本来、使い道や支払先、金額を明確にしておけば、損金として扱えたわけですから、これは企業にとっては大きな損になるといえるでしょう。
さらに、使途秘匿金の場合は、法務上、通常の法人税の額の他に、使途秘匿金分の40%に相当する40万円の法人税がかかってくることになります。
しかも、この課税は、赤字で本来納付すべき法人税がない企業であっても支払いわなければいけません。
また、使途秘匿金や使途不明金に限りませんが、支出を処理する段階で、隠蔽工作や帳簿などの改ざんがあった場合は、 追徴税額に対してさらに35%の重加算税が加えられることになります。
つまり、100万円の使途秘匿金があれば、従来の法人税とは別に、その100万円の40%に相当する40万円の法人税がかかってくることになります。 しかも、この課税は、赤字で本来納付すべき法人税がない企業であっても支払わなければいけません。
また、使途秘匿金や使途不明金に限りませんが、支出を処理する段階で、隠蔽工作や帳簿などの改ざんがあった場合は、追徴税額に対してさらに35%の重加算税が加えられることになります。
基本的には税務調査によって、使途秘匿金や使途不明金は発覚しますが、あえて最初から使途秘匿金として申告する企業もあります。
ある程度のペナルティーは覚悟したうえで、課税されてもなお、秘密にして使いたいお金があるということです。
会社の経営方針にもよりますが、もちろん、どちらも出さないに越したことはありません。
この二つに認定されないためには、いくつか注意しなければならないことがあります。
まず、税務調査では、支出先の氏名や住所などが帳簿に記載されているかどうかをチェックされます。
きちんと帳簿に情報が記載してあっても、相手企業に対しての反面調査で取引がないことがわかると虚偽にあたり、重大なペナルティーを課されることになります。
ただし、帳簿に記載されていなくても、それ相応の理由があれば使途秘匿金や使途不明金に認定されません。
たとえば、支払先の情報を帳簿に記載しないことが慣例となっていると証明できる場合や、ホテルやレストランを利用した際のチップや、小口の謝礼金などがこれにあたります。
つまり、支出先が不明であっても妥当性を証明できれば、問題になりません。
そして、税法上、使途秘匿金とされる金銭の支出には、金銭以外の資産、不動産や動産などの贈与や供与も含まれ、さらに仮払金や貸付金も金銭の支出として扱われるので、注意が必要です。
支出の用途を秘匿すること自体は、税法上、違法ではありません。
しかし、前途したような大きな課税が待っているので、できるだけ使用秘匿金や使用不明金に認定されないほうが得策です。
税務調査で指摘されないように、会計処理時は支出先の情報や用途を明確にしておきましょう。
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