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コラム

2019.06.11
研究開発税制の見直しは、企業にどんな影響をもたらす?

研究開発税制の見直しが企業に与える影響

研究開発税制とは?

研究開発税制とは、製品やサービスの開発を行っている企業を対象として、研究に費やされた費用の一部を法人税から控除するという制度です。

研究開発税制とは、研究や開発に投資をすると法人税が控除されるという制度で、国としての成長力と競争力の向上を目的として、企業の研究開発を支援するものです。

大きく分けて基礎研究、応用研究、開発研究の3つがあります。

研究開発税制の見直しで何が変わる?

今回は、2018年の改正によって、企業はどのような恩恵を受けられるのか見てみたいと思います。

2018年に閣議決定された『平成31年度税制改正』には、研究開発税制の見直しが盛り込まれています。

研究開発税制は、元々は製品の製造や技術の改良・考案・発明にかかる試験研究費用を対象にしていました。

しかし、2017年度には、ビッグデータなどを活用した第4次産業革命型サービスの開発にかかる試験研究費用なども追加され、2018年度にも内容が改正されています。

研究開発税制は、以下の四つの制度で構成されています。

(1)試験研究費の総額にかかる税額控除制度(総額型)

(2)中小企業技術基盤強化税制

(3)特別試験研究にかかる税額控除制度(オープンイノベーション型)

(4)試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度(高水準型)

(1)は、青色申告法人が、その事業年度に損金算入される研究費の額がある場合に、その試験研究費の額に一定の税額控除率を乗じて算出した金額を法人税の額から控除できる制度です。

これまで控除できる試験研究費の上限が法人税額の25%までだったものが、改正により一定の法人(新設法人(設立から10年)であること)の場合、法人税率の40%まで引き上げられます。

(2)は、増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例となり、税額控除額の計算にも8%が適用されます。

この制度は2020年度末までの時限措置となります。

(3)は、研究開発型ベンチャー企業の行う共同研究や委託研究、民間企業などへの委託研究、特定用途医薬品などに関する試験研究などにかかる費用が対象です。

控除税額の上限は法人税額の10%へ引き上げられ、税額控除率は、研究開発型ベンチャー企業の行う共同研究や委託研究費用の場合は25%、民間企業などへの委託研究費用の場合は20%、特定用途医薬品などに関する試験研究などにかかる費用の場合は20%です。

(4)は廃止されますが、税額控除率を割増しする措置を加え、総額型に統合したうえで、適用期限が2年延長されます。

改正によって企業に与えるメリットとは?

今回の改正によって、以前に増して法人税の控除額が増えます。

また、自社の研究開発を進めることができます。

これらの点からも、企業側のメリットは大きいものといえるでしょう。

そもそもは国としての成長力と競争力の向上を目的とした法改正ですが、それに便乗して企業競争力を高めるチャンスです。

一般的には研究開発税制というと、大企業向けというイメージもありますが、実は中小企業に対してかなり優遇された制度です。

重複しての利用が可能なケースもありますので、ぜひこの制度を利用することをおすすめします。

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この記事を担当した税理士
サイバークルー会計事務所 代表 横山 禎一(よこやま ていいち)
保有資格1961年、愛知県に生まれる。1985年同志社大学卒業後、大手化学メーカーに勤務。 退社後、1993年に米国のジョージ・ワシントン大学にてMBAを取得。帰国後、外資系企業の経営企画室や財務・経理部に勤務しながら、筑波大学大学院で修士法学取得。2000年に日米合弁のITベンチャーの立上げに加わり、10数億円の資金を集めIPOを目指したが、2003年に倒産。 この経験から、会社の倒産を防ぐ税理士・行政書士事務所を設立。起業希望者や起業家をサポートする「日本起業家倶楽部」を立上げ、創業スクールやセミナー・交流会などを主催している。
専門分野税理士、行政書士、MBA
経歴経理体制構築、経営計画サポート
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