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コラム

2025.02.26
副業をしている会社員は確定申告が必要?判断基準を簡単解説

そもそも確定申告をしたことがない。

昨年から副業を始めたが、確定申告が必要かわからない。

副業は青色、白色どちらで申告したらよいか知りたい。

最近、「副業を始めたのだけれども、確定申告が必要なのでしょうか?」というようなお問い合わせをよく頂きます。その背景には、従業員の副業を認めている企業が増加しているということがあります。実際、経団連が2022年10月に公表した「副業・兼業に関するアンケート調査結果」によると、自社社員の社外での副業を「認めている」「認める予定」との回答が7割以上を占めているというデータがあります。その背景には、コロナ禍においてテレワークが普及し、自宅にパソコンがあれば、リモートで副業をしやすい環境が急速に整ったのと、副業を探せるランサーズやクラウドワークスなどのプラットフォームが急増したという背景があります。
そこで、今回のコラムでは、副業で確定申告が必要な場合、そのやり方、またメリットとデメリットをご紹介します。

参考:『約7割の企業が副業・兼業を「認めている」「認める予定」――経団連の「副業・兼業に関するアンケート調査結果」

副業の定義と複業と兼業の違いとは

まず、副業の定義とそれに似た多様な働き方について解説します。

副業とは

「副業」とは、主な収入源となっており、生活を支えている本業以外の労働から収入を得ることを言います。そのため、雇用形態は、アルバイト、派遣、契約社員、個人事業主、フリーランスなど多岐にわたります。
副業は法律では、禁止されておりません。ですが、以前は就業規則で従業員の副業を禁止と定めている企業がほとんどでした。2018年に厚生労働省が作成した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」においても、「原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当」との考え方が示されている一方、下記4つに該当する場合は、会社が副業を制限することが許されるとしています。

・労務提供上の支障がある場合
・業務上の秘密が漏洩する場合
・競業により自社の利益が害される場合
・自社の名誉や信用を損なう行為、信頼関係を破壊する行為がある場合

参考:『副業・兼業の促進に関するガイドライン

複業とは

複業は、同等の収入、労働時間がある複数の業務に従事している場合を言います。複数の企業から給与を受け取る場合や、給与所得と同等のウェイトの個人事業主・フリーランス収入を得ている場合を言います。

兼業とは

兼業は、企業で働きながら、自らも起業して事業を行うことをいいます。複業との違いは、会社に勤務しながら自分でも事業を経営しているという点です。事業には、法人化している場合だけでなく、個人事業主も含まれます。なお、個人事業主とフリーランスの大きな違いは、個人事業主の場合は、税務署に『開業届』を提出しているという点です。

 

副業で確定申告が必要な場合とは

給与所得以外会社員として1社からのみ所得を受けている場合、確定申告をしたことがないという方がほとんどかと思います。というのも、会社で年末調整をして、源泉徴収された税額の年間の合計額と、年税額を一致させて精算をしているからです。(ただし、給与の収入金額が2,000万円を超える場合は、年末調整の対象とならないため、確定申告が必要)
それでは、副業で確定申告が必要となるのは、どのような時かというと「20万円以上の所得がある場合」です。
内閣府が2021年に発表したデータによると、同年における男性の副業所得の平均年収は64.14万円、女性の副業収入は34.3万円でしたので、副業をしている多くの人が確定申告が必要な可能性が高いといえます。
ただし、「収入」と「所得」には大きな違いがあります。

・収入:売上金額
・所得:収入から必要経費を差し引いた金額

よって、もし30万円の収入(売上)があっても、経費が15万円であったら所得は15万円になるため、確定申告は不要となります。

参考:内閣府『第2-1-14図 副業・兼業実施の推移とその効果

副業を青色・白色申告するメリットとデメリットとは

確定申告には、白色と青色の2種類があります。以下に副業を申告する場合のメリット・デメリットをそれぞれ表にしました。

  メリット デメリット
白色申告 -単式簿記で可
-事前の手続きが不要
-節税のメリットが低い
青色申告

-節税のメリットが高い(65万円の所得控除)
-赤字を最大3年間繰り越せる

-事業で必要なコストを経費として計上できる

-複式簿記が必要
-税務署に事前の開業申請が必要
-記帳の手間がかかる

上記のように、大きな違いは、節税のメリット(青字)と帳簿のつけ方の違い(赤字)の2つがあります。よってもし、副業を継続的に行い、事業収入の拡大が見込める場合は、複式簿記の手間をかけても青色申告を行うことをお勧めします。
なお、単式簿記と複式簿記の違いをご参考までに以下にまとめました。

・単式簿記:単式簿記とは、取引の内容を1つの勘定科目のみで記録する方法です。
(例)

勘定科目 金額
売上高 \10.000

・複式簿記:複式簿記では、取引における原因と結果の2つの側面を借方と貸方にそれぞれ勘定科目と金額を記録する方法です。
(例)

借方 貸方
現金:¥10,000 売上高:¥10,000

上記のように、複式簿記では、該当する相手科目が何か勘定科目の基本的なルールを理解し、『仕訳』と呼ばれる取引を分類し帳簿に記載する作業が発生します。そのため、自分で帳簿づけをしたことがない方だと、不安を感じたり、面倒に思うかもしれません。そこで、お勧めしたいのが、会計ソフトを活用した帳簿づけです。会計ソフトには、Webブラウザからインターネットを介して利用するクラウド型と、パソコンにソフトをインストールして利用するタイプの2種類があります。クラウド型のメリットは、オンライン環境があれば、スマホ、PC、タブレットなど、自分が普段使用している端末からアクセスし、入力できる点です。さらに、税法改正があった場合でも自動的に更新されるため、自身でアップデートをする必要がありません。 特に税法改正が多い昨今、会計ソフトを利用する場合は、クラウド型を導入することをお勧めします。

関連記事:『【中小企業DX化への成功の道】クラウド会計ソフト活用と導入のポイントを徹底解説!

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この記事を担当した税理士
サイバークルー会計事務所 代表 横山 禎一(よこやま ていいち)
保有資格1961年、愛知県に生まれる。1985年同志社大学卒業後、大手化学メーカーに勤務。 退社後、1993年に米国のジョージ・ワシントン大学にてMBAを取得。帰国後、外資系企業の経営企画室や財務・経理部に勤務しながら、筑波大学大学院で修士法学取得。2000年に日米合弁のITベンチャーの立上げに加わり、10数億円の資金を集めIPOを目指したが、2003年に倒産。 この経験から、会社の倒産を防ぐ税理士・行政書士事務所を設立。起業希望者や起業家をサポートする「日本起業家倶楽部」を立上げ、創業スクールやセミナー・交流会などを主催している。
専門分野税理士、行政書士、MBA
経歴経理体制構築、経営計画サポート
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