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コラム

2020.07.27
2020年10月から年末調整の手続きが変わります! これを機に、ペーパレス化を進めませんか?

年末調整の電子化で何が変わるのかを知りたい。

年末調整電子化のメリットを知りたい。

年末調整の電子化による注意点を知りたい。

 

「働き方改革」の推進において、2018年に税制の見直しが行われました。「働き方改革」は、育児や介護との両立など働く人のニーズの多様化が進む中、就業機会を拡大し意欲・能力を存分に発揮できる環境を作るために打ち出された政府の政策です。その中に「所得税の確定申告・年末調整手続の電子化」があり2020年10月からいよいよ年末調整が電子化されます。

電子化の概要と目的は、「源泉徴収義務者(雇用者)の事務負担を軽減し、給与所得者(被用者)の利便性を向上させる観点から、現行制度上、書面で源泉徴収義務者に提出がされている生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整関係書類について、電磁的方法による提出(電子的提出)を可能」(「平成30年度 税制改革」より)にするものです。

今回は、年末調整電子化で変わること、メリットと注意点をご説明いたします。

 

年末調整電子化で変わること

従来の年末調整では、従業員が保険会社などから控除証明書を郵送で受取り、申告書に必要事項を記入して人事・総務部に提出していました。人事・総務部は、回収した申告書をチェックし、税務署にまとめて提出していました。

年末調整が電子化されると、契約中の保険会社・銀行等のマイページやマイナポータルからXMLファイルでの取得が可能になります。

マイナポータルは、政府が運営するオンラインサービスです。子育てや介護をはじめとする行政手続がワンストップでできたり、行政機関からのお知らせを確認できたりします。

XMLはテキストファイルですので、何かソフトがなければデータが見えないとか、OSが違うとデータが見えないということがありません。インターネットに公開しておけば、どこからでも参照することが可能です。

従業員が、国税庁ホームページ等からダウンロードした年末調整控除申告書作成用ソフトウェアに、住所・氏名等の基礎項目を入力し電子データの証明書をアップロードして申告書を作成し、データで人事・総務部に提出します。提出されたデータを人事・総務部が給与システム等にインポートして年税額を計算します。

 

年末調整電子化によるメリット

年末調整を電子化することによるメリットは、さまざまな領域であります。

 

【従業員(申告者)にとってのメリット】

・証明書内容の転記が不要になるため申告者の申告負荷が軽減する

・保険会社や金融機関などから送られた複数の控除証明書を失くさないように保管する手間が省ける

・生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン控除等、申告に必要な書類を電子データで取得するので管理がしやすい

・末調整申告書への記入や控除額の計算などの面倒な手作業が無くなる

  1. ・電子化された申告書はオンライン上で保管できるので、過去データを流用することで入力の手間が省かれる上、入力ミスも軽減される

 

【企業側にとってのメリット】

  1. ・申告書原本を全従業員に配布・回収する手間が無くなる
  2. ・控除額の計算も年調ソフトが自動的に行うので、控除額の検算が不要になる
  3. ・申告者の記載ミスそのものが減るので、提出書類の再チェックの手間がほとんど無くなり、従業員への修正依頼が不要になる
  4. ・源泉徴収税の納付および税務署等への書類提出

 

【事業者にとってのメリット】

・各種保険会社、銀行などにとって証明書を印刷・郵送する業務負荷が軽減される

 

年末調整電子化における注意点

導入メリットの高い年末調整電子化ですが、以下の注意が必要です。

・2020年の段階では、まだ全ての保険会社や銀行などが控除証明書など年末調整に必要な書類の電子発行に対応できるまでには至っていない

・既存の給与システムがXML形式の年末調整申告書の電子データをインポートできるよう改修が必要になる

・年末調整電子化に向けては、あらかじめ管轄の税務署に会社側が「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請」を行い、税務署長の承認を受けておく必要がある

・控除証明書を保険会社のホームページやマイナポータル連携などで従業員が各自取得するよう周知する必要がある

・従業員が自宅で申告書を作成するには、パソコンやスマートフォンの環境が整っている必要がある

・マイナポータルを使う場合はICカードリーダーなども必要となる(ただしマイナポータルAP対応のスマートフォンの場合はICカードリーダーは不要)

 

年末調整電子化には、上記のような注意が必要ですが、準備をしっかりと行い導入をすることで、従業員にとっても、人事・総務部にとっても年末調整にかかる手間や時間が省けます。

年末調整の電子化への切り替えをお勧め致します。

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この記事を担当した税理士
サイバークルー会計事務所 代表 横山 禎一(よこやま ていいち)
保有資格1961年、愛知県に生まれる。1985年同志社大学卒業後、大手化学メーカーに勤務。 退社後、1993年に米国のジョージ・ワシントン大学にてMBAを取得。帰国後、外資系企業の経営企画室や財務・経理部に勤務しながら、筑波大学大学院で修士法学取得。2000年に日米合弁のITベンチャーの立上げに加わり、10数億円の資金を集めIPOを目指したが、2003年に倒産。 この経験から、会社の倒産を防ぐ税理士・行政書士事務所を設立。起業希望者や起業家をサポートする「日本起業家倶楽部」を立上げ、創業スクールやセミナー・交流会などを主催している。
専門分野税理士、行政書士、MBA
経歴経理体制構築、経営計画サポート
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